福祉の街 社長ブログ

【社長ブログ】言うは易し行うは難し ~相手本位の実践~

今日は大型の台風。埼玉県でも熊谷・行田で被害がでました。皆さんもどうか、お気をつけください。

 

8月から9月にかけて、私は埼玉県主催の「認知症対応型サービス事業開設者研修」を受講しました。先週12日は、深谷市の社会福祉法人花園公益会様が運営されているフラワーヴィラグループホームにおいての現場体験研修でした。フラワーヴィラでは、「心豊かに安心して過ごせる場所でいつまでも自分らしく自分らしい空間で自分らしい時を過ごす」という理念の下運営されており、認知症ケアについても①安心した居場所をつくる、②人の五感を大切にする、③地域との交流の場面を意識して創る、という点で大変学びの多い一日となりました。服部理事長他、大変お世話になり有難うございました。

 

(深谷市のフラワーヴィラグループホーム)

 

相手本位は意識と智慧がいる)

ところで当社では現在、現場のマネジャー層の育成に重点を置き、7月以降何度か研修を重ねています。仕事に対する考え方、仕事の仕方を講義・実習・実践を通じて身に付けることを目的としていますが、その中でも、私たちの経営理念である「YOU ISM」(お客様の立場に立って行動する)を相手本位に実践することの大切さと難しさを大きなテーマとしています。相手本位の「YOU ISM」、すなわちいつでもどこでも誰に対しても「YOU ISM」を実践するには、常に意識をもつことが必要で、それを私は次のような喩話を引用して、職員に説明をしています。

 

あるとき石切り場から馬車に石を積んでいく馬方があった。馬車を引っ張っていく途中に窪みがあって、そこに車が入ると馬方は馬をひっぱたく。馬はヒーヒーいいながら引っ張る。これを見ていた人が「かわいそうに、あの窪みさえなければ......」と思ってその窪みを埋めてやった。これで馬も助かるだろうと思った。ところがそのうちに馬はとうとう死んでしまった。何故かというと、はじめから石をたくさん積んでゆかねばならぬようになったからである。窪みがある時は初め石の量を調節しておかないと引き上げきれないので、やっと上がるだけのぎりぎりの荷を積んでいたから、あとは楽であった。しかし窪みがなくなると初めから石をたくさん積まされて、とうとうへたばって死んでしまった。馬のためを思ってやったのだけれど、かえって悪い結果になった。窪みの所だけがわかっていて全体がわからなかった。智慧がなかったのである。(「歎異抄購読」細川厳師述より)

 

「可哀そう」というような素直な気持ちは大切ではあるけれど、それを超えた深い思慮と智慧がなければ、かえってその気持ちが相手にとって仇(あだ)となってしまう、ということでしょう。

 

言うは易し行うは難し

この馬の喩話を、ふと12日の研修の帰りに思い出しました。私は限られた1日、フラワーヴィラの入居者の方々に、自分なりに精一杯接しました。散歩、会話、・・・・・。結果入居者の方々にも喜んでいただき、研修終了時には何人の方は別れを惜しんで下さいました。そしてそれは私にとって大きな喜びでありました。しかし、その時一人の方の表情が突然怒りになったのです。

喜ばすだけ喜ばせておいて、どうして一日だけで勝手に帰ってしまうのか、無責任だ。その方はそう伝えたかったのかも知れません。私は、そのあと不穏な行動につながらなかったか、職員の方に難儀をかけたのではないかと、心配になりました。相手のことを思えば、1日だけの研修ですから、もう少し距離をおいて接するべきだったのです。

振り返ってみれば私は、「自分が今日一日頑張って、意義のある研修にしたい。入居者の方には今日一日喜んでいただきたい。」と臨んだのでした。それはまさに自己本位の考え方です。自社の研修で自分が説いた、相手本位も意識も智慧もなかったのです。本当に恥ずかしくなりました。

 

今日は敬老の日、フラワーヴィラではきっと敬老会のイベントが催されていることと思います。入居者の方々が、いつもの日のように「心豊かに安心して過ごせる場所で今日も自分らしく自分らしい空間で自分らしい時を過ごしておられる」ことを願っています。 

平尾雅司